立夏1 OJT3

相手の立場 新米社会人

相手の立場に立って考える

共感力

他人と協力しながら、チームで仕事をするためには、チームメンバの気持ちを汲み取り、相手の立場に立って物事を考える必要がある。

このように、チームワークを論じた書籍やサイトは多く世の中に溢れ、その重要性も今となっては痛感している。

しかし、生来の気質(自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群)では、知識として頭に入れていても、実際の態度や行動に移すことは非常に困難だ。

特に、相手に関心をもち、共感を示して、相手のモチベーションを上げて、気持ちよく仕事をしてもらうことは、自分にとっては絶対不可能で、もはや、神の御業というほかあるまい。

最近は、「共感」が大切なキーコンセプトとして、ビジネスの成功要因のひとつにも挙げられているほどだ。

共感力とまで贅沢は言わない。相手が自分の行動に対して、どう感じるのか。せめて、必要最小限度の想像力は持っていたかった。

何度も訂正印が押された仕訳伝票

与えられた職務に忠実に勤しむことだけはできた。しかし、目の前の作業にのめり込みすぎ、周囲の反応や環境分析ができるほど、広い視野を持つことが難しかった。

交通費精算が主な支払伝票を毎日切ることが日課だった。一生懸命に、慣れない計算をして仕訳を切った。

といっても、簿記をまだ知らないので、支払伝票には、自分が営業マンに支払った金額を人別に記入している、以上の理解はできずじまいだった。

支払伝票には、勘定科目、金額、そして部門コードを記載する必要があった。竹田先輩から教わった通りに、基本に忠実に伝票を作成した。

竹田先輩が業務で忙しく、容易に質問できない場合は、竹田先輩の指示通り、過去月に作成された直近の過去データを参考にしながら、見よう見まねで支払伝票を作成した。

竹田先輩も繁忙期に入り、私が作成した支払伝票は彼のチェック無しに、直接経理部長に提出することになった。

私はおずおずと、経理部長に支払伝票を提出した。

さすが、経理部長だった。彼は、暗算が得意で、電卓もPCも使わずに、億円単位の四則演算を軽々とこなしていた。

たった4桁の私の支払伝票は間違いだらけだった。元木部長は、何度も何度も私の間違いだらけの伝票を突き返した。

私は、間違えを指摘される都度、二重線を引き、訂正印を押して、同じ支払伝票を再提出した。

「いいかげんにしてくれないかな。一度ならまだしも、同じ個所を2回間違えたら、支払伝票はいちから作り直してくれないかな。」

実は庇ってくれていた経理部長

経理部長に、新規の支払伝票の作成を求められ、気恥ずかしさのあまり、どこかへ消え去りたかった。

元木経理部長に指摘されて初めて気が付いた。訂正印だらけの支払伝票は、それだけでも信用が落ちること。それを提出されても、チェック・承認の責任権限者は、必要以上に神経を使ってチェックしなければならないこと。

そもそも、忙しい中、伝票のチェックをこちらはお願いする立場なのだ。お願いする立場の者が、お願いされる側の立場に立って考えれば、見やすい伝票を提出しょうと心がけることは、社会の当然の常識なのだ。

最近は紙の伝票も見る機会がぐっと減った。だから、知らない人にはわかりやすく説明を追加しておきたい。

最初から、紙の伝票を書く際に、あらかじめ書き込む科目名や金額の文字や数字の大きさを、行の半分位の高さに調整しておく。

万が一、科目名や金額を間違えた場合、二重線で見え消しし、訂正印を押したうえで、その上の余白に正しい文字と数字を記入するためにだ。

つまり、最初から、一度は間違えてもいいように、バッファをもって伝票を起こす。私の場合は、それが一度の間違いに収まらなかったので、新たに支払伝票を書き起こす必要が生まれた、というわけだ。

誰にとっても愉快なことではなく、このような汚れた伝票は、会社にとってマイナスでしかないのだ。

ちなみに、当時もちゃんと会計アプリケーションは存在している。ITシステムとしての伝票入力の前に、領収書と支払伝票を突合させて金額チェックをし、入力用の証憑として紙の伝票を管理していた。

紙の伝票の作成者と、ITシステムへの入力者は、内部統制の観点から、別の人が担当することになっていた。

当然、私には、ITシステムへの入力はまだ認められていない。私が作成した支払伝票は。山崎さんがITシステムへ入力することになっていた。

見方を変えれば、経理部長は、山崎さんからのお小言が日増しに増えている私の身を案じてくれたと理解できなくもない。

こうした一歩引いた考えができるようになったのは、相当年数が経ってからであるが。

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