立夏1 初めての就職面接1

25歳ー立夏 新米社会人

一睡もせずに挑んだ生涯初の入社面接

それは、背中から侮蔑の笑い声を受けて終わった

「くどいなぁ~。」

緊張がほどけ、面接室から廊下に出たすぐのことだった。

小一時間の入社面接を終え、ほっとする間もなく、ドアを閉めた先の部屋から女性の声と、それを受けて男性の大きな笑い声が聞こえてきた。

惨めな入社面接デビューだった。

今から思えば、なんと大胆な行動だったか。

何も知らないから、恐れることなくチャレンジできたのだともいえる。何事にも最初はつきものである。

しかし、当時の私は、一人前にプライドを傷つけられ、赤っ恥をかいたことに、どこかに消え入りたい思いでいっぱいだった。

就職25歳限界説

それまでは、為せば成る、と考えていた。今から思うと、それはとても危険な思想であることに、当時の私はまだ気づいていなかった。

それと同時に、自分は特別な人間で、他人には無い特別な才能があると信じていた。

大学生時代、普通のサラリーマンにはなりたくない、という、今から思えば、未熟で浅はかな考えに支配されていた。

当時の自分の幼稚さに今でも驚くばかりだが、身の程もわきまえず、普通の会社に就職しないで済む方法ばかり考えていた。

大学受験だって、真面目に受験勉強に取り組んだわけでもなかった。

第一志望校には到底入れる点数は取れずじまいで、一浪して、ようやく第三志望の大学になんとか滑り込むことができた。

その時点で、自分の学力に限界がきていることは明らかだった。とうの昔に詰んでいるのだ。誰が見ても一目瞭然のことだった。

しかし、私は、悪あがきをした。

今でも九州に住む田舎の両親に頼み込んで、最後は仕送りを復活してもらい、士業の資格取得を目指して、関西にある大学卒業後、法律系の専門学校に進んだ。

だが、そもそも、テストや受験に向かない性格だったのだ。

受験勉強もせずに、勉強法の本を読み漁り、資格取得後のキャリア紹介本ばかりを丹念に読む、夢ばかり想って、実行することができない、典型的なダメ人間だった。

当然、資格試験も、勉強を始めて1年目はパス。ようやく2年目に記念受験をしただけ。

本来は合格圏にもっと近づいてもおかしくない3年目は、合格の予感すら感じることができず、試験すら受ける意欲もわいてこなかった。

そのうちに、近づいてくる26歳の誕生日。どこかのネットかTVからのインプットなのか、「就職25歳限界説」という言葉だけが脳内に響き渡った。

情報弱者とは私のこと

これ、と決めた後の行動は早いのだけは取柄であると自負している。しかし、状況判断ができない性格がいまだに災いとなり、身に降りかかってくる。

当時は世間知らずもいいところで、今よりもっとひどい状況だった。

それまで、アルバイトとしての入社面接しか経験がなかった。アルバイトはネットで探したりはしていた。

しかし、当時の自分の知識では、社会人歴のない自分が正社員として働くための求人は、新聞の求人広告から探すしかない、と勝手に思い込んでいた。

それでいて、当時は、社会問題に深く関心があると思い込み、そういう意識高い系の自分を誇りに思っていた。

だから日刊紙を2紙とっていた。もちろん、読まずに積んでおくだけで、3か月後には、古紙交換業者に出していた。

情報弱者とは自分のことをおいてほかにはいまい。

手あたり次第に履歴書を郵送する

大震災を身近に体験し、避難生活の過酷さを知り、人生の儚さを痛感したばかりだった。

このままの人生には虚無しか待っていない。

よし、やろう!

我が身を案じてくれた両親に感謝の意を行動で返そう。

サラリーマンとして就職することを決意し、購読していた日刊紙2紙の求人広告欄で、卒業からブランクがあっても応募できそうな求人を、目を皿のようにして漁った。

2日間かけて、めぼしい求人を5件にまで絞り込んだ。

(なぜか、その瞬間は、新卒でも転職でもない自分でも、エージェントに登録することに可能性が少なからずあるということに対する認識が欠けていた。)

履歴書の書き方は、ネットで検索しても響くものが見つからなかったので、わざわざ書籍を本屋で買ってきた。

見よう見まねで、初めての正社員応募の履歴書を書き上げた。

もちろん、大学を卒業してから、この時点までブランクが2年もある。

幸いにも、参考にした履歴書の書き方の書籍には、こうしたブランクがある人向けの履歴の書き方指南が記載されていた。

「なるほどっ!」と、得心しながら、ブランクをブランクとは感じさせない方法の記述法をまねさせて頂いた。

要は、何かしらやっていたことをアピールするのが、こうした場合の正攻法なのだそうだ。

私の場合は、大学卒業後、法律系の専門学校に籍を置いていたので、そのまま大学卒業後は、専門学校に進んだことにすることができた。

そうして、応募先の企業からメールか電話か、何らかの反応があることを待ち構えて、何をするわけでもなく、数日を過ごした。

就職を決意した俺、カッコいい、と自画自賛しながら。。。

(前は一度サラリーマンとして働くことから逃避し、今度は合格の当てのない資格試験から逃避したのだ)

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